日台融合、寵物先生中国語ミステリーを各国で翻訳出版
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第1回島田荘司推理小説賞を受けた台湾の作家・寵物先生(ミスターペッツ、29)の作品が翻訳され、『虚擬街頭漂流記』(文芸春秋)として刊行された。中国語で書かれた本格ミステリー作品を募る、昨年新設された新人賞で、台湾、中国、タイでも出版される。逆輸入という段階を超えた新しい交流が始まっている。 ◇ 寵物先生の筆名は、ネットで使っていたハンドルネームを流用し、寵物はペットという意味だという。 翻訳出版に合わせ来日した寵物先生は「人間のように変身する犬を描いた浅美裕子さんのマンガ『WILDHALF』が好きで、人間のペットに対する感情のように(自分の書いたものを)あたたかく見て欲しいという願いがありました」と話す。 マンガだけでなく日本文化が幼いころから好きで、大学でも第一外国語で日本語を学んだ。「大学生のときに綾辻行人さんの『十角館の殺人』を読んだのが、ミステリーを書き出すきっかけでした。受賞作が台湾で出版されたとき、おまえの言葉は日本の小説の読み過ぎで文法が日本語的だと言われました」 受賞作は、ネット上の仮想空間で起きた殺人事件の謎を追うSF的な要素を含んだ本格推理小説。「大学で情報科学を学び、今はソフトウエア会社に勤めています。バーチャルリアリティーの世界とミステリーを融合させたいと温めてきたテーマです」 島田さんは選評で「(日本ではSFと本格ミステリーという)2ジャンルが画然と分離を果たしているからである。……2ジャンルの才能の融和という結果は、日本人の自分には、ずいぶんと稀(まれ)な、貴重な出来事に思える」と記す。「袋小路に入った日本の本格推理小説界に刺激を与えたい」との願いがあり、アジア各地の本格推理小説を翻訳する「島田荘司選アジア本格リーグ」というシリーズも進む。 寵物先生は「台湾の推理作家協会賞に応募する人が増えるなど、島田賞を機に台湾で推理小説を書く人が増えています。日本の本格推理小説の書き方に刺激を受け、それに台湾の文化が融合することで、さまざまな作品が生まれるかもしれない」と話した。(加藤修)
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